株式会社 谷中農園
ものごとを俯瞰(ふかん)的に捉える
キーワードは「植物」と「経営」
3世代、約50年続くいちご農家 株式会社 谷中農園の代表取締役 谷中正幸さんに話を伺いました。
谷中さん自身、いちご栽培への「こだわりが無い」と話します。「こだわりが無い」とは、興味・関心がないという意味ではなく、固定観念にとらわれないとうことです。
日々の栽培対する姿勢は懸命で真剣そのものです。
「こだわりが無い」ということは、見方を変えると、さまざまな考えを受け入れ、柔軟な考えができるのだと思います。
話を聞いていて、特に面白いと感じたのは、「いちご」を農産物でもフルーツでもなく、「植物」として捉えている点です。栽培に際しては「植物(いちご)に現在何が足らないのかを考え、必要に応じて手を施す。それだけで十分なんです」と話す。だが、「必要なもの」を判断し導き出すためには、データの蓄積に加えて、自身のこれまでの経験が大切になります。
先代や先々代が築いてきた「お客様を大切にしたい」と谷中さんは話します。「日々、きちんと植物(いちご)に向き合って、適切に手を加えてあげないと、一日でも味が落ちたとき。そのとき食べたお客様は離れてしまう」と厳しい表情。さらに「安定した味を提供するため、コンディションの悪い日を徹底して無くす努力をしています」と付け加えた。
谷中さんの目指すところは株式会社 谷中農園を「100年企業」にすること。農園を築いた先代たちに敬意をはらいつつ、新しい取り組みや変化に恐れることなく、対応していく方針です。家業を継いだ当初は高設栽培を取り入れた設備投資などで、省力化に注力。当時は栃木市内で初の試みでした。
現在、若手2名を社員登用し、後継の育成を行っています。
最後に話をしてくれたのは、「谷中農園のいちごがいいと言ってくれる方々がたくさんいます。いいものをつくり続けることが使命ですね」と笑顔をみせた。
取材を通して、谷中さんは今後の農業在り方、自社の将来、そしてお客様のことを真摯に考えている方だと印象を受けました。良い意味で「こだわり」が少ない谷中さん。第三者的な立場で自分自身を俯瞰的に捉えられる方だと感じました。